2020年現在、コロナウィルスの猛威のおかげで、自宅テレワークしているが、その持て余した時間と、退屈さの解消に、やりたくなった。
テレワークといいつつ仕事の隙間日とか、サボっている間でも、急に電話がかかってくるかもしれないし、PCの前にそわっている必要があるし、なんとなく、没入するようなゲームはしにくい。そんな時に、最適なゲームだ。
このシリーズは、PC88/98がオリジナルだと思う。他にいろいろな機種に移植されていて、映像も異なる。オリジナルがやっぱり当時の雰囲気がでていて良いと感じる。とはいえ、他機種をやったことがない。
当時うちには、PC9801があって、兄がよくゲームをやっていたが、その中にマンハッタン・レクイアムという、同シリーズの2作目があってそれが、このシリーズを知ったきっかけで、当時は難しすぎて全くクリアできなかったが、なにかコーヒーを片手に優雅にプレイするゲームという印象であった。
またこのマンハッタン・レクイエムには、パッケージの中に、本物の警察手帳や地図みたいなものが同梱されていて、この演出にワクワクしたものだ。
で、そのマンハッタン・レクイエムは数年前クリアしたのだが、大人向けの雰囲気と、登場人物設定も現実的な人間臭さをもった大勢の人物がでてきて、まさに大人の趣味いった感じで、クリア後の後味も清々しいものだった。
そんな印象があり、いつか1作目である本作も制覇する、というのが、人生の隠れたマイルストーンであったのだ。
で、プレイ感であるが、まずタイトルに至る演出がかっこいい。タイトルでは本ゲームでたった一つしかない音楽が流れるのであるが、殺人事件の背景の紹介からタイトルに至る流れと音楽がマッチングしていて、センスを感じる。
ゲームを始めると、キャサリンという2作目にもでてくる同僚が現れるのだが、癖のない絵柄であり、写実的というほどではないが、実在の人物を、スケッチしたような感じで、最近のゲームにありがちな、やたらと幼児的な絵柄とか、ホストみたいな若者とは違い、万人に受けいられる感じである。
また、このシリーズの長所として、物語が運行する背景描写が当時の限られた映像ではあるが、とても美しい。やはり安易な写真ではなく、人が手をかけてデザインしたのだと思う。
ゲームシステムは、ある程度、捜査の内容から推測して、関連する手がかりを追いかけていくことで、ある程度進むが、進まなくなったら、コマンド総当りを行い、無理やり進行させる、ということは必要になってくる。
というのは以前調べた場所であっても、進行状況により新たな手がかりが見つかったり、同じ人物への同じ質問でも、数回繰り返すことによって、新たな証言が得られることがあるからだ。
といえ、ファミコンの十字キーとボタンでの選択とは違い、キーボードでたくさんあるコマンドを直接指定できることもあり、それほど苦痛なものではない。ちょっと前のロールプレイングゲームの経験値稼ぎのように時間がかかるわけでもないので、我慢できる範囲だ。
物語の進行は、序盤と中盤、そして次々と伏線が回収される終盤でスピードが早くなり、終盤では先が気になって止まらない程だ。
伏線といっても、大げさなものではなく、登場人物の意外な出自だったり、鬱屈した思いだったりといった人間的なものであるがそこがいい。
実は、1箇所わからないことがあって、進行不能バグではないかと思い、ちょっと答えをチラ見してしまったのが悔やまれるが、そんなことはともかく良いゲームであり、大人におすすめする。
・クリアまでのプレイ時間 3、4時間くらい。
・私的評価 名作 (傑作・名作・良作・凡作・駄作の5段階)